過失割合(高速道路上の交通事故の場合)
1 注意点
本件では、東京地裁民事交通訴訟研究会が作成した、過失割合の認定基準について、平成16年に提言された基準(別冊判例タイムズ第16号)を記載しています。
現在は、平成26年に提言された基準(別冊判例タイムズ第38号)が適用され、上記基準とは少し異なるところがありますので、ご注意ください。
2 東京地裁民事交通訴訟研究会が作成した、過失割合の認定基準
裁判所は、大量の交通事故による損害賠償請求事件を、適正かつ迅速に処理する必要があることから、過失相殺についても、交通事故の状況を詳細に類型化して、過失割合の認定基準を提言しています。
そして、これは、具体的には、東京地裁民事交通訴訟研究会が作成した、過失割合の認定基準(「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂4版)(別冊判例タイムズ第16号))になります。
3 交通事故の状況の類型化
そして、上記の過失割合の認定基準(平成16年に提言された基準)は、「高速道路上の交通事故」を、次のように類型化しています。
4 過失割合
(1)基本の過失割合
そして、上記の過失割合の認定基準(平成16年に提言された基準)は、次の4以下のように、過失割合を認定しています。
(2)修正要素
但し、次の4以下の過失割合は、基本の過失割合になります。
修正要素もあり、例えば、運転者に著しい過失がある場合、交通事故の状況によって、その運転者に不利に修正されます。
そして、最終的な過失割合は、様々な修正要素によって修正されて、認定されることになりますので、ご注意ください。
5 合流地点における交通事故
過失割合(本線車:合流車) | ||
四輪車同士の交通事故 | 30:70 | |
自動二輪車と四輪車との交通事故 | ||
自動二輪車が本車線を走行する場合 | 20:80 | |
自動二輪車が加速車線を走行する場合 | 40:60 |
6 進路変更に伴う交通事故
四輪車同士の交通事故 | 過失割合(後続直進車:進路変更車) | ||
走行車線から追越車線へ進路変更する場合 | 20:80 | ||
その他の場合 | 30:70 | ||
自動二輪車と四輪車との交通事故 | |||
走行車線から追越車線へ進路変更する場合 | |||
四輪車進路変更 | 10:90 | ||
自動二輪車進路変更 | 30:70 | ||
その他の場合 | |||
四輪車進路変更 | 20:80 | ||
自動二輪車進路変更 | 40:60 |
7 追突交通事故
本線車道等に駐停車中の自動車に対する追突交通事故 | 過失割合(追突車:被追突車) | ||
四輪車同士の交通事故 | 60:40 | ||
自動二輪車と四輪車との交通事故 | |||
四輪車駐停車 | 50:50 | ||
自動二輪車駐停車 | 70:30 | ||
路肩等に駐停車中の自動車に対する追突交通事故 | 100:0 | ||
追突交通事故(被追突車に法24条違反がある場合) | |||
四輪車同士の交通事故 | 50:50 | ||
自動二輪車と四輪車との交通事故 | |||
四輪車に法24条違反がある場合 | 40:60 | ||
自動二輪車に法24条違反がある場合 | 60:40 |
なお、法24条違反とは、危険を防止するためやむを得ない場合ではないにもかかわらず、車両を急に停止させ、又は急ブレーキをかけることです。
8 落下物による交通事故
後続車:先行車=40:60
9 歩行者と自動車との交通事故
過失割合(歩行者) | |
本線車道を歩行中の歩行者の交通事故 | 80 |
駐停車車両の近傍の歩行者の交通事故 | 40 |