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交通死亡事故の過失割合の解説

本記事では、交通死亡事故の過失割合について、被害者遺族側の観点から、以下のこと等を、解説します。

  • 東京地裁民事交通訴訟研究会が作成した、過失割合の認定基準
  • 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準

本記事では、交通死亡事故の過失割合について、被害者遺族側の観点から、以下の目次の項目を、順に、解説します。

この記事を書いた人

希望総合法律事務所 代表弁護士 中村 正

平成 7年(1995年)早稲田大学法学部卒業
平成12年(2000年)司法試験最終合格
平成14年(2002年)最高裁判所司法研修所卒業
平成14年(2002年)弁護士登録(日本弁護士連合会登録、東京弁護士会登録)
平成21年(2009年)希望総合法律事務所設立

2009年、当事務所を設立する際、交通死亡事故専門サイト「交通事故による死亡・弁護士相談」の運営を開始。弁護士費用を、おそらく日本で一番低額な基準を設定。

以後、当サイト経由で、交通事故の死亡事案を、おそらく日本で一番多くご依頼いただいてきたと思われ、その中で、専門性、経験、実績を十分に磨いてきた、交通死亡事故・専門弁護士(被害者側、全国対応)。

目次

  1. 過失相殺、過失割合
  2. 東京地裁民事交通訴訟研究会が作成した、過失割合の認定基準における、事故類型
  3. 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準~歩行者と四輪車・単車との事故
  4. 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準~四輪車同士の事故
  5. 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準~単車と四輪車との事故
  6. 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準~自転車と四輪車・単車との事故
  7. 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準~高速道路上の事故
  8. 過失割合の認定基準の修正要素の用語の意味

1 過失相殺、過失割合

(1)過失相殺

過失相殺(かしつそうさい)は、被害者にも過失(落ち度)があった場合、被害者に生じた損害全額を加害者に負担させるのは、公平の観点から妥当ではないので、その過失割合に応じて、加害者に負担させる損害額を減額すべきであるとの考えに基づくものです。
例えば、被害者の損害額の合計が7000万円で、被害者と加害者の過失割合が、1:9である場合、被害者遺族には、

7000万円×0.9(加害者の過失割合分)=6300万円

が認められることになります。
例えば、被害者の損害額の合計が7000万円で、被害者と加害者の過失割合が、2:8である場合、被害者遺族には、

7000万円×0.8(加害者の過失割合分)=5600万円

が認められることになります。
このように、交通死亡事故事案のように、損害額が高額になる事案では、過失割合の少しの違いで、大きな(数百万円程度の)違いが生じることになります。

(2)過失割合

裁判所は、大量の交通事故による損害賠償請求事件を、適正かつ迅速に処理する必要があることから、過失割合について、交通事故の状況を詳細に類型化して、過失割合の基準を提言しています。
これは、具体的には、東京地裁民事交通訴訟研究会が作成した、過失割合の認定基準(「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)(別冊判例タイムズ38))になります。

2 東京地裁民事交通訴訟研究会が作成した、過失割合の認定基準における、事故類型

東京地裁民事交通訴訟研究会が作成した、過失割合の認定基準は、以下のように、交通事故の状況を類型化しています。

(1)歩行者と四輪車・単車との事故

横断歩行者の事故横断歩道上の事故信号機の設置されている横断歩道上の事故
信号機の設置されていない横断歩道上の事故
横断歩道外における事故横断歩道の付近における事故
横断歩道のない交差点又はその直近における事故
前記以外の場所における事故
対向又は同一方向進行歩行者の事故歩行者用道路における事故
歩車道の区別のある道路における事故
歩車道の区別のない道路における事故
路上横臥(おうが)者等の事故昼間の場合
夜間の場合
後退車による事故直後横断の場合
直後横断以外の場合

(2)歩行者と自転車との事故

横断歩行者の事故
対向又は同一方向進行歩行者の事故
道路外や車道から歩道、路側帯に進入してきた歩行者の事故

(3)四輪車同士の事故

交差点における直進車同士の出合い頭事故信号機により交通整理の行われている交差点における事故
信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
交差点における右折車と直進車との事故同一道路を対向方向から進入した場合
左又は右方向から進入した場合
交差点におけるその他の態様の事故
道路外出入車と直進車との事故
対向車同士の事故(センターオーバー)
同一方向に進行する車両同士の事故
転回車と直進車との事故
駐停車車両に対する追突事故
緊急自動車と四輪車との事故

(4)単車と四輪車との事故

交差点における直進車同士の出合い頭事故信号機により交通整理の行われている交差点における事故
信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
交差点における右折車と直進車との事故同一道路を対向方向から進入した場合信号機により交通整理の行われている交差点における事故
信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
左又は右方向から進入した場合信号機により交通整理の行われている交差点における事故
信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
交差点における左折車と直進車との事故
渋滞中の車両間の事故
道路外出入車と直進車との事故
対向車同士の事故(センターオーバー)
同一方向に進行する車両同士の事故
転回車と直進車との事故
ドア開放事故
駐停車車両に対する単車の追突事故

(5)自転車と四輪車・単車との事故

交差点における直進車同士の出合い頭事故信号機により交通整理の行われている交差点における事故
信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
交差点における右折車と直進車との事故同一道路を対向方向から進入した場合
同一道路を同一方向から進入した場合
左又は右方向から進入した場合
交差点における左折四輪車と直進自転車との事故
歩行者用信号機が設置された横断歩道又は「歩行者・自転車専用」の表示のある信号機が設置された横断歩道若しくはこれに隣接して設けられている自転車横断帯により道路を横断する普通自転車と四輪車との事故歩行者用信号規制対象自転車と直進四輪車との事故
歩行者用信号規制対象自転車と青信号で右左折する四輪車との事故
道路外出入車と直進車との事故
対向車同士の事故
進路変更に伴う事故
転回車と直進車との事故
交差点以外における横断自転車の事故

(6)高速道路上の事故

合流地点における事故
進路変更に伴う事故
追突事故
落下物による事故
歩行者と自動車との事故

(7)駐車場内の事故

四輪車同士の事故
歩行者と四輪車との事故

3 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準~歩行者と四輪車・単車との事故

歩行者と四輪車・単車との事故における、交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準は、以下のようになります。

(1)交通死亡事故の過失割合~ケース1~横断歩行者の事故~歩行者が青信号で横断、車が赤信号で直進

ア 事故類型

  • 横断歩行者の事故
  • 横断歩道上の事故
  • 信号機の設置されている横断歩道上の事故
  • 歩行者と直進車との事故
  • 横断中の信号変更なし
  • 歩行者が青信号で横断開始、車が赤信号で進入

イ 過失割合の認定基準

基本0(歩行者の過失割合)
修正要素なし

(2)交通死亡事故の過失割合~ケース2~横断歩行者の事故~歩行者が赤信号で横断、車が青信号で直進

ア 事故類型

  • 横断歩行者の事故
  • 横断歩道上の事故
  • 信号機の設置されている横断歩道上の事故
  • 歩行者と直進車との事故
  • 横断中の信号変更なし
  • 歩行者が赤信号で横断開始、車が青信号で進入

イ 過失割合の認定基準

基本70(歩行者の過失割合)
修正要素住宅街・商店街等-10
歩行者が児童・高齢者-19
歩行者が幼児・身体障害者等-20
集団横断-10
車の著しい過失-10
車の重過失-20
歩車道の区別なし-10

(3)交通死亡事故の過失割合~ケース3~横断歩行者の事故~歩行者が青信号で横断、車が青信号で右左折

ア 事故類型

  • 横断歩行者の事故
  • 横断歩道上の事故
  • 信号機の設置されている横断歩道上の事故
  • 歩行者と右左折車との事故
  • 横断中の信号変更なし
  • 歩行者が青信号で横断開始、車が青信号で進入

イ 過失割合の認定基準

基本0(歩行者の過失割合)
修正要素直前直後横断、佇立・後退+5~10
歩行者が児童・高齢者-5
歩行者が幼児・身体障害者等-5
車の著しい過失-5
車の重過失 -10

(4)交通死亡事故の過失割合~ケース4~横断歩行者の事故~歩行者が横断歩道を横断

ア 事故類型

  • 横断歩行者の事故
  • 横断歩道上の事故
  • 信号機の設置されていない横断歩道上の事故

イ 過失割合の認定基準

基本0(歩行者の過失割合)
修正要素夜間+5
幹線道路+5
直前直後横断、佇立・後退+5~15
住宅街・商店街等-5
歩行者が児童・高齢者-5
歩行者が幼児・身体障害者等-10
集団横断-5
車の著しい過失-5
車の重過失-10
歩車道の区別なし-5

(5)交通死亡事故の過失割合~ケース5~横断歩行者の事故~歩行者が交差点を横断

ア 事故類型

  • 横断歩行者の事故
  • 横断歩道外における事故
  • 横断歩道のない交差点又はその直近における事故
  • 優先関係のない交差点における事故

イ 過失割合の認定基準

基本15(歩行者の過失割合)
修正要素夜間+5
横断禁止の規制あり+5~10
直前直後横断、佇立・後退+10
住宅街・商店街等-5
歩行者が児童・高齢者-5
歩行者が幼児・身体障害者等-10
集団横断-5
車の著しい過失-10
車の重過失-20
歩車道の区別なし-5

(6)交通死亡事故の過失割合~ケース6~横断歩行者の事故~歩行者が道路を横断

ア 事故類型

  • 横断歩行者の事故
  • 横断歩道外における事故
  • 「『横断歩道の付近』や『横断歩道のない交差点又はその直近』」以外の場所における事故

イ 過失割合の認定基準

基本20(歩行者の過失割合)
修正要素夜間+5
幹線道路+10
横断禁止の規制あり+5~10
直前直後横断、佇立・後退+10
住宅街・商店街等-5
歩行者が児童・高齢者-5
歩行者が幼児・身体障害者等-10
集団横断-10
車の著しい過失-10
車の重過失-20
歩車道の区別なし-5

(7)交通死亡事故の過失割合~ケース7~進行歩行者の事故~歩行者が車道の側端を歩行

ア 事故類型

  • 対向又は同一方向進行歩行者の事故
  • 歩車道の区別のある道路における事故
  • 車道における事故
  • 車道通行が許されていない場合
  • 車道側端の場合

イ 過失割合の認定基準

基本20(歩行者の過失割合)
修正要素夜間+5
幹線道路+5
ふらふら歩き+10
住宅街・商店街等-5
歩行者が児童・高齢者-5
歩行者が幼児・身体障害者等-10
集団通行-10
車の著しい過失-10
車の重過失-20

(8)交通死亡事故の過失割合~ケース8~路上横臥(おうが)者の事故

ア 事故類型

  • 路上横臥(おうが)者等の事故
  • 夜間の場合

イ 過失割合の認定基準

基本50(歩行者の過失割合)
修正要素幹線道路+10~20
住宅街・商店街等-10~20
歩行者が児童・高齢者-10
歩行者が幼児・身体障害者等-20
明るいところ-10
車の著しい過失-10
車の重過失-20

4 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準~四輪車同士の事故

四輪車同士の事故における、交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準は、以下のようになります。

(1)交通死亡事故の過失割合~ケース1~出合い頭事故~四輪車が青信号で直進、四輪車が赤信号で直進

ア 事故類型

  • 交差点における直進車同士の出合い頭事故
  • 信号機により交通整理の行われている交差点における事故
  • 青信号車と赤信号車との事故

イ 過失割合の認定基準

基本青信号車0:赤信号車100
修正要素青信号車に何らかの過失あり
又は赤信号車の明らかな先入
+10
青信号車の著しい過失+10
青信号車の重過失+20
赤信号車の著しい過失-5
赤信号車の重過失-10

(2)交通死亡事故の過失割合~ケース2~出合い頭事故~四輪車がそれぞれ直進

ア 事故類型

  • 交差点における直進車同士の出合い頭事故
  • 信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
  • 同幅員の交差点の場合
  • 左方車と右方車が同程度の速度

イ 過失割合の認定基準

基本左方車40:右方車60
修正要素左方車の著しい過失+10
左方車の重過失+20
見とおしがきく交差点-10
夜間-5
右方車の著しい過失-10
右方車の重過失-20

(3)交通死亡事故の過失割合~ケース3~出合い頭事故~四輪車が優先道路を直進、四輪車が非優先道路を直進

ア 事故類型

  • 交差点における直進車同士の出合い頭事故
  • 信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
  • 一方が優先道路である場合

イ 過失割合の認定基準

基本優先車10:劣後車90
修正要素劣後車の明らかな先入+10
優先車の著しい過失+15
優先車の重過失+25
劣後車の著しい過失-10
劣後車の重過失-15

(4)交通死亡事故の過失割合~ケース4~対向車同士の事故(センターオーバー)

ア 事故類型

  • 対向車同士の事故(センターオーバー)

イ 過失割合の認定基準

基本左側部分通行車0:センターオーバー車100
修正要素左側部分通行車の著しい過失+10
左側部分通行車の重過失+20
センターオーバー車が他車追越中の場合
 左側部分通行車が15km以上の速度違反
 左側部分通行車が30km以上の速度違反

+10
+20
センターオーバー車の速度違反-10~20
センターオーバー車の追越禁止場所追越し-10
センターオーバー車のその他の著しい過失-10
センターオーバー車の重過失-20

5 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準~単車と四輪車との事故

単車と四輪車との事故における、交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準は、以下のようになります。

(1)交通死亡事故の過失割合~ケース1~出合い頭事故~単車・四輪車が青信号で直進、四輪車・単車が赤信号で直進

ア 事故類型

  • 交差点における直進車同士の出合い頭事故
  • 信号機により交通整理の行われている交差点における事故

イ 過失割合の認定基準

 単車青信号・四輪車赤信号単車赤信号・四輪車青信号
基本単車0:四輪車100単車100:四輪車0
修正要素単車に何らかの過失あり+5修正なし
単車の著しい過失+10+5
単車の重過失+20+10
四輪車に何らかの過失あり修正なし-10
四輪車の著しい過失-10-20
四輪車の重過失-20-30

(2)交通死亡事故の過失割合~ケース2~出合い頭事故~単車が直進、四輪車が直進

ア 事故類型

  • 交差点における直進車同士の出合い頭事故
  • 信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
  • 同幅員の交差点の場合
  • 両車ともに同速度

イ 過失割合の認定基準

 単車左方車・四輪車右方車単車右方車・四輪車左方車
基本単車30:四輪車70単車50:四輪車50
修正要素単車の著しい過失+10+10
単車の重過失+20+20
見とおしがきく交差点-10+10
四輪車の著しい過失-10-10
四輪車の重過失-20-20

(3)交通死亡事故の過失割合~ケース3~出合い頭事故~単車・四輪車が優先道路を直進、四輪車・単車が非優先道路を直進

ア 事故類型

  • 交差点における直進車同士の出合い頭事故
  • 信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
  • 一方が優先道路である場合

イ 過失割合の認定基準

 単車が優先道路を走行四輪車が優先道路を走行
基本単車10:四輪車90単車70:四輪車30
修正要素単車の著しい過失+10+10
単車の重過失+20+20
劣後車の明らかな先入+10-20
四輪車の著しい過失-5-10
四輪車の重過失-10-20

(4)交通死亡事故の過失割合~ケース4~右直事故~四輪車が青信号で右折、単車が青信号で直進

ア 事故類型

  • 交差点における右折車と直進車との事故
  • 同一道路を対向方向から進入した場合
  • 信号機により交通整理の行われている交差点における事故
  • 直進車・右折車ともに青信号で進入した場合
  • 単車直進・四輪車右折

イ 過失割合の認定基準

基本単車15:四輪車85
修正要素四輪車 徐行なし-10
四輪車 直近右折-10
四輪車 合図なし-10
四輪車 早回り右折・大回り右折-10
四輪車 その他の著しい過失・重過失-10
単車 15km以上の速度違反+10
単車 30km以上の速度違反+20
四輪車 既右折+10
単車 法50条違反の交差点進入+10
単車 その他の著しい過失・重過失+10

(5)交通死亡事故の過失割合~ケース5~右直事故~四輪車が右折、単車が直進

ア 事故類型

  • 交差点における右折車と直進車との事故
  • 同一道路を対向方向から進入した場合
  • 信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
  • 単車直進・四輪車右折

イ 過失割合の認定基準

基本単車15:四輪車85
修正要素四輪車 徐行なし-10
四輪車 合図なし-10
四輪車 右折禁止違反-10
四輪車 直近右折-10
四輪車 早回り右折・大回り右折-10
四輪車 その他の著しい過失・重過失-10
四輪車 既右折+10
単車 15km以上の速度違反+10
単車 30km以上の速度違反+20
単車 その他の著しい過失・重過失+10

(6)交通死亡事故の過失割合~ケース6~道路外出入車の事故~四輪車が路外から進入、単車が直進

ア 事故類型

  • 道路外出入車と直進車との事故
  • 路外車が道路に進入する場合
  • 単車道路直進・四輪車路外

イ 過失割合の認定基準

基本単車10:四輪車90
修正要素四輪車 頭を出して待機+10
四輪車 既進入+10
単車 15km以上の速度違反+10
単車 30km以上の速度違反+20
単車 その他の著しい過失+10
単車 その他の重過失+20
四輪車 徐行なし-10
幹線道路-5
四輪車 その他の著しい過失-10
四輪車 重過失-20

(7)交通死亡事故の過失割合~ケース7~対向車同士の事故(センターオーバー)

ア 事故類型

  • 対向車同士の事故(センターオーバー)

イ 過失割合の認定基準

 単車センターオーバー・四輪車直進単車直進・四輪車センターオーバー
基本単車100:四輪車0単車0:四輪車100
修正要素直進車の前方不注視等-15+5
直進車の著しい前方不注視等-30+15
直進車のその他の重過失-10~20+10

6 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準~自転車と四輪車・単車との事故

自転車と四輪車・単車との事故における、交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準は、以下のようになります。

(1)交通死亡事故の過失割合~ケース1~出合い頭事故~自転車が直進、車が直進

ア 事故類型

  • 交差点における直進車同士の出合い頭事故
  • 信号機により交通整理の行われていない交差点における事故
  • 同幅員の交差点の場合

イ 過失割合の認定基準

基本自転車20:車80
修正要素夜間+5
自転車 右側通行・左方から進入+5
自転車 著しい過失+10
自転車 重過失+10~15
自転車 児童等・高齢者-5
自転車 自転車横断帯通行-10
自転車 横断歩道通行-5
車 著しい過失-10
車 重過失-10~20

(2)交通死亡事故の過失割合~ケース2~横断自転車の事故~自転車が青信号で横断歩道等を横断、四輪車が赤信号で直進

ア 事故類型

  • 歩行者用信号機が設置された横断歩道又は「歩行者・自転車専用」の表示のある信号機が設置された横断歩道若しくはこれに隣接して設けられている自転車横断帯により道路を横断する普通自転車と四輪車との事故
  • 歩行者用信号規制対象自転車と直進四輪車との事故
  • 歩行者用信号機等青信号・四輪車赤信号
  • 自転車が、歩行者用信号機等青信号で横断開始、四輪車が、赤信号で進入

イ 過失割合の認定基準

基本自転車0:四輪車100
修正要素自転車 著しい過失・重過失+5~10
自転車 児童等・高齢者-5
自転車 歩行者と同程度の速度-10
自転車 自転車横断帯通行-5
四輪車 著しい過失-5
四輪車 重過失-10

(3)交通死亡事故の過失割合~ケース3~横断自転車の事故~自転車が赤信号で横断歩道等を横断、四輪車が青信号で直進

ア 事故類型

  • 歩行者用信号機が設置された横断歩道又は「歩行者・自転車専用」の表示のある信号機が設置された横断歩道若しくはこれに隣接して設けられている自転車横断帯により道路を横断する普通自転車と四輪車との事故
  • 歩行者用信号規制対象自転車と直進四輪車との事故
  • 歩行者用信号機等赤信号・四輪車青信号
  • 自転車が、歩行者用信号機等赤信号で横断開始、四輪車が、青信号で進入

イ 過失割合の認定基準

基本自転車75:四輪車25
修正要素夜間+5
自転車 児童等・高齢者-10
自転車 自転車横断帯通行-5
四輪車 著しい過失-10
四輪車 重過失-20

(4)交通死亡事故の過失割合~ケース4~横断自転車の事故~自転車が青信号で横断歩道等を横断、四輪車が青信号で右左折

ア 事故類型

  • 歩行者用信号機が設置された横断歩道又は「歩行者・自転車専用」の表示のある信号機が設置された横断歩道若しくはこれに隣接して設けられている自転車横断帯により道路を横断する普通自転車と四輪車との事故
  • 歩行者用信号規制対象自転車と青信号で右左折する四輪車との事故
  • 普通自転車が青信号で横断を開始した場合
  • 自転車が、歩行者用信号機等青信号で横断開始、四輪車が、青信号で進入

イ 過失割合の認定基準

基本自転車10:四輪車90
修正要素自転車 著しい過失・重過失+5~10
自転車 児童等・高齢者-10
自転車 歩行者と同程度の速度-10
自転車 自転車横断帯通行-5
四輪車 徐行なし-5
四輪車 その他の著しい過失-5
四輪車 重過失-10

7 交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準~高速道路上の事故

高速道路上の事故における、交通死亡事故で多い事故類型の、過失割合の認定基準は、以下のようになります。

(1)交通死亡事故の過失割合~ケース1~追突事故

ア 事故類型

  • 追突事故

イ 過失割合の認定基準

基本追突車100:被追突車0

但し、以下の場合は、別の基準になります。

  • 過失等により本線本道等に駐停車した自動車に対する追突事故
  • 過失なく本線車道等に駐停車した自動車に対する追突事故
  • 路肩等に駐停車中の自動車に対する追突事故
  • 被追突車に道路交通法24条違反(理由のない急ブレーキ)がある場合

(2)交通死亡事故の過失割合~ケース2~歩行者が駐停車車両の近くに所在

ア 事故類型

  • 歩行者と自動車との事故
  • 駐停車車両の近傍の歩行者の事故

イ 過失割合の認定基準

基本40(歩行者の過失割合)
修正要素歩行者 停止表示器材設置-20
車 著しい過失-10~20
車 重過失-20~30
視認不良+10
歩行者 著しい過失・重過失+10~20

8 過失割合の認定基準の修正要素の用語の意味

(1)幼児、児童、高齢者

幼児とは、6歳未満の者をいうとされています。
児童とは、6歳以上13歳未満の者をいうとされています。
高齢者とは、おおむね65歳以上の者をいうとされています。

(2)車両の著しい過失、重過失

ア 著しい過失

(ア)車両一般

車両一般の著しい過失の例としては、以下のようなものが挙げられるとされています。

  • 脇見運転等の著しい前方不注視
  • 著しいハンドル・ブレーキ操作不適切
  • 携帯電話等の無線通話装置を通話のため使用したり、画像を注視したりしながら運転すること
  • おおむね時速15km以上30km未満の速度違反
  • 酒気帯び運転
(イ)単車特有

単車特有の著しい過失の例としては、以下のようなものが挙げられるとされています。

  • ヘルメット不着用
(ウ)自転車特有

自転車特有の著しい過失の例としては、以下のようなものが挙げられるとされています。

  • 二人乗り
  • 無灯火
  • 傘を差すなどしてされた片手運転
  • 右側通行(他方から見て、左方から交差点に進入した場合)
  • 並進

イ 重過失

(ア)車両一般

車両一般の重過失の例としては、以下のようなものが挙げられるとされています。

  • 酒酔い運転
  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • おおむね時速30km以上の速度違反
  • 過労、病気及び薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある場合
(イ)単車特有

単車特有の重過失の例としては、以下のようなものが挙げられるとされています。

  • 高速道路におけるヘルメット不着用
  • ことさらに危険な体勢での単車の運転
(ウ)自転車特有

自転車特有の重過失の例としては、以下のようなものが挙げられるとされています。

  • いわゆる「ピスト」等の制動装置不良

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