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交通事故の死亡事案の相続人の範囲、相続分等の解説

この記事を書いた人

希望総合法律事務所 代表弁護士 中村 正

平成 7年(1995年)早稲田大学法学部卒業
平成12年(2000年)司法試験最終合格
平成14年(2002年)最高裁判所司法研修所卒業
平成14年(2002年)弁護士登録(日本弁護士連合会登録、東京弁護士会登録)
平成21年(2009年)希望総合法律事務所設立

2009年、当事務所を設立する際、交通死亡事故専門サイト「交通事故による死亡・弁護士相談」の運営を開始。弁護士費用を、おそらく日本で一番低額な基準を設定。

以後、当サイト経由で、交通事故の死亡事案を、おそらく日本で一番多くご依頼いただいてきたと思われ、その中で、専門性、経験、実績を十分に磨いてきた、交通死亡事故・専門弁護士(被害者側、全国対応)。

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1 相続人

交通事故の被害者は、加害者側(任意保険会社)に対して、損害賠償請求をすることができます。
但し、交通事故の死亡事案の場合、被害者は死亡しています。
そして、被害者が死亡した場合、被害者の損害賠償請求権は、相続人が相続します。
よって、損害賠償請求できるのは、被害者の相続人になります。

2 相続人の範囲、相続分

(1)相続人の範囲、相続分

そこで、次に、相続人は誰がなるか、相続分について、説明いたします。
以下のようになります。

配偶者直系尊属兄弟姉妹相続人(相続分)
ありあり配偶者(2分の1)、子(2分の1)
ありなしあり配偶者(3分の2)、直系尊属(3分の1)
ありなしなしあり配偶者(4分の3)、兄弟姉妹(4分の1)
ありなしなしなし配偶者
なしあり
なしなしあり直系尊属
なしなしなしあり兄弟姉妹

(2)子や直系尊属や兄弟姉妹が、複数人いる場合

子や直系尊属や兄弟姉妹が、複数人いる場合、相続分を、複数人で均等に分けることになります。
例えば、①で、子が2人いる場合、子の相続分は、2分の1×2分の1=4分の1ずつになります。

(3)直系尊属

直系尊属は、父母や祖父母や曾祖父母になります。
そして、親等の近い者が優先します。
例えば、父母と祖母がいる場合、相続人は、父母のみになります。

(4)配偶者と子と父母がおらず、祖父母と兄弟姉妹がいる場合

例えば、配偶者と子と父母がおらず、祖母と兄がいる場合、祖母は直系尊属ですので、⑥のように、相続人は、祖母のみになります。
この場合、兄が相続人になると思われがちですが、兄は相続人になりませんので、ご注意ください。

(5)子が既に死亡していないが、その子の子(孫)がいる場合

子が既に死亡していないが、その子の子(孫)がいる場合、孫は、相続人になります。
孫の相続分は、子の相続分と同じです。
これを、代襲(だいしゅう)相続といいます。
例えば、①で、子が1人いたが既に死亡していて、その子の子(孫)がいた場合、孫は、相続人になり、相続分は2分の1になります。

(6)兄弟姉妹が既に死亡していないが、その兄弟姉妹の子(甥、姪)がいる場合

兄弟姉妹が既に死亡していないが、その兄弟姉妹の子(甥、姪)がいる場合、甥、姪は、相続人になります。
甥、姪の相続分は、兄弟姉妹の相続分と同じです。
これを、代襲相続といいます。
例えば、③で、兄が1人いたが既に死亡していて、その兄の子(甥)がいた場合、甥は、相続人になり、相続分は4分の1になります。

(7)兄弟姉妹が複数人いる場合で、全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹がいる場合

上記のように、兄弟姉妹が複数人いる場合、相続分を複数人で均等に分けることになります。
但し、被害者と父母の双方が同じ兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)と、被害者と父母の一方のみが同じ兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)がいる場合、後者の相続分は、前者の2分の1になります。
例えば、③で、全血兄と半血弟がいる場合、全血兄の相続分は、4分の1×3分の2=6分の1、半血弟の相続分は、4分の1×3分の1=12分の1になります。

3 相続人であることの証明~戸籍謄本等

(1)相続人であることの証明

交通事故の死亡事案で、加害者側(任意保険会社)に対する損害賠償請求の手続きを進めるにあたっては、相続人は、相続人であることを証明する必要があります。
これは、基本、被害者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取得して証明することになります。

(2)①の場合(配偶者あり、子あり)

例えば、被害者Aが交通事故により死亡し、相続人が、妻のB、子のCの場合を考えます。
この場合、BとCは、自分達だけが相続人であること、自分達が固有の死亡慰謝料請求権者であることを証明するためには、(1)Bは、Aの妻であること、(2)Cは、Aの子であること、(3)Cの他に、Aには、子がいないことを証明する必要があります。
そのためには、Aの出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取得すれば、証明することができます。

(3)⑥の場合(配偶者なし、子なし、直系尊属あり)

例えば、被害者Aが交通事故により死亡し、相続人が、父のB、母のCの場合を考えます。
この場合、BとCは、自分達だけが相続人であること、自分達が固有の死亡慰謝料請求権者であることを証明するためには、(1)BとCは、Aの父母であること、(2)Aには、配偶者がいないこと、(3)Aには、子がいないことを証明する必要があります。
そのためには、Aの出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取得すれば、証明することができます。

(4)⑦の場合(配偶者なし、子なし、直系尊属なし、兄弟姉妹あり)

例えば、被害者Aが交通事故により死亡し、相続人が、兄のBの場合を考えます。
この場合、Bは、自分だけが相続人であることを証明するためには、(1)Bは、Aの兄であること、(2)Aには、配偶者がいないこと、(3)Aには、子がいないこと、(4)Aの父母は、既に死亡していること、(5)Aの祖父母は、既に死亡していること、(6)Bの他に、Aには、兄弟姉妹がいないことを証明する必要があります。
(1)~(3)は、Aの出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取得すれば、証明することができます。
(4)と(5)は、その旨の記載がある戸籍謄本等を取得すれば、証明することができます。
(6)は、父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等と、母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取得すれば、証明することができます。
なお、戸籍謄本等で重なるものは、重ねて取得する必要はありません。

4 参照条文

ア 民法887条(子及びその代襲者等の相続権)

1 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

イ 民法889条(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)

1 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

ウ 民法890条(配偶者の相続権)

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

エ 民法900条(法定相続分)

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

オ 民法901条(代襲相続人の相続分)

1 第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
2 前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

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