損害賠償請求権の消滅時効
1 損害賠償請求権の消滅時効
(1)消滅時効
交通事故の死亡事案の被害者の損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人(被害者が未成年者の場合の、その親など)が、損害及び加害者を知った時から、5年で消滅時効にかかります。
交通事故の死亡事案の場合、相続人が、損害及び加害者を知った時からになります。
また、令和2年3月31日までに発生した交通事故の死亡事案については、3年で消滅時効にかかります。
時効の起算点は、交通事故の死亡事案の場合、通常、死亡日となります。
(2)時効の更新
他方、時効の更新の制度があります。
例えば、被害者遺族が、加害者側から損害の一部の支払いを受けた場合、時効は、その時から新たに進行を始めます。
また、被害者遺族が、加害者側の任意保険会社から示談額を提示された場合、時効は、その時から新たに進行を始めます。
2 自賠責保険会社に対する被害者請求権の消滅時効
また、自賠責保険会社に対する被害者請求権は、3年で消滅時効にかかりますので、ご注意ください。
また、平成22年3月31日までに発生した交通事故については、2年で消滅時効にかかります。
3 参照条文
〇民法724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
「不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
ニ 不法行為の時から二十年間行使しないとき。」
〇民法724条の2(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
「人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。」
〇自動車損害賠償保障法(自賠法)4条
「自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償の責任については、前条の規定によるほか、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による。」
〇民法152条(承認による時効の更新)
「 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
2 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。」
〇自動車損害賠償保障法(自賠法)19条
「第十六条第一項及び第十七条第一項の規定による請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知つた時から三年を経過したときは、時効によつて消滅する。」